らんちゅうといえば、金魚の王様!というような呼ばれ方をよくされています。他の金魚とは一桁違う価格で取引されることも多い金魚です。なぜ、らんちゅうはそんなに人気があるのでしょうか?らんちゅうは飼育が難しい、混泳が難しいとうのも本当なのでしょうか?らんちゅうの歴史と魅力、飼育について紹介してみます(^^)
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らんちゅうが金魚の王様と呼ばれる理由?人気の理由は?
ランチュウ(蘭鋳、蘭虫、卵虫)は、よく金魚の王様と言われるほど人気と伝統のある金魚の品種です。らんちゅうの見た目の特徴は背びれがなく、ずんぐりとした体型をしていてヒレも大きく広がるようなことはありません。尾鰭は3つ尾または4つ尾、サクラ尾が標準とされて、頭には肉瘤が発達してきます。
生まれた当初の体は黒色ですが成長してくると赤くなり、成魚にまで成長すると更紗と呼ばれる紅白のものか素赤と呼ばれる赤い個体になります。体は厚くなり、頭部の肉瘤が発達した姿からか、英名では「ライオンヘッドゴールドフィッシュ」とも呼ばれています。
ちなみに英名では「ライオンヘッドゴールドフィッシュ」と呼ばれているとはいいましたが正確にはライオンヘッドと呼ばれる金魚と日本のらんちゅうとは特徴が若干違うし、品種も違うものとされています。
簡単な違いは例えばライオンヘッドと呼ばれる金魚はもともと中国産で日本を中心に生産されるらんちゅうと比べると頭が大きく、体高が低かったりの違いがあります。
らんちゅうとライオンヘッドは見た目の共通点は多いですが、正確に言うと違う品種なんですね。ただ中国産のらんちゅうなどは、このライオンヘッドに近い体型だったりするので、国産のらんちゅうと中国産のらんちゅうではまた体型や特徴も違ったりましす。
なかなか素人目には見分けられないかも知れませんが、らんちゅう好き、金魚好きな人ならすぐに見分けることができるでしょう。
らんちゅうは他の金魚に比べても品評会などの歴史が特に古くその人気は現在へと続いています。また、入賞するような個体のらんちゅうとなると価格も桁が二つほど違うぐらいの高級金魚になります。
それら品評会などによる愛好家の数や品位、らんちゅうの歴史、取引価格など多くの要素があいまってらんちゅうは金魚の王様と呼ばれているのです。
らんちゅうのルーツと種類
らんちゅうのルーツはすでに江戸時代にその名前が卵虫(ランチュウ)として登場しておりとても長い歴史があります。ただし、その時代のらんちゅうは現在の姿とは少し違い、現在の背びれのない、いわゆるマルコという形態を経て現代のらんちゅうの姿へと品種改良されたのは明治以降とされています。
種類・系統が分かれた、それぞれのらんちゅうの特徴
らんちゅうは改良が進むにつれ、様々な種類・系統へと枝分かれしていきました。その系統ごとの特徴を紹介してみます。
大阪らんちゅう
まず最初に大阪らんちゅうです。この大阪らんちゅうは江戸時代の文献にも登場する個体の形状で、その姿は肉瘤は発達せず、背びれのない丸い背中と開いた尾鰭、花房と呼ばれる丸い小さな瘤が目の前にできます。
らんちゅうの類型化が行われたのもこの種類ですが、このらんちゅう後に登場した明治期に現れた、後ほど紹介する協会系のらんちゅうや宇野系のらんちゅうに押されて飼育数を激減させてしまいます。さらには第二次世界大戦の戦火の際、大阪らんちゅうは絶滅してしまい、戦後に肉瘤の少ないらんちゅう・南京・土佐金・花房などを用いて大阪らんちゅうは復元されたとされています。
次に協会系とよばれるらんちゅうです。協会系らんちゅうは東京の初代石川亀吉氏が作出し、現在のらんちゅうの基礎の一つとされています。それ以降、現在に続くらんちゅうの観賞会・品評会が行われるようになり、各地に愛好会が結成され、全日本らんちゅう連盟により、石川家はらんちゅうの宗家の称号を贈られました。石川家のらんちゅうは脈々と現在も続いています。日本らんちゅう協会はこの石川亀吉氏のらんちゅうに連なる系列のらんちゅうを基準としているため、協会系、または宗家系と呼ばれるようになりました。この系列のらんちゅうの特徴は力強い体型と尾の形態と均整、らんちゅうの泳ぎの美しさを重視するとされています。
最後に宇野系と呼ばれるらんちゅうです。宇野系らんちゅうは陶芸家である宇野仁松氏が趣味でらんちゅうを飼育していたことから、彼の審美眼をもとに協会系らんちゅうから確立されたものです。この系列は宇野系らんちゅうと呼ばれます。宇野系らんちゅうの特徴は肉瘤の発達や具合や色彩の美しさを重んじ体型の大きいものは良しとされないようです。
このため、協会系と宇野系のらんちゅうでは、らんちゅうに対する審美の基準が違うため、品評会では協会系と宇野系は同列に並ぶことはありません。大阪らんちゅうも現在のものは終戦後に絶滅した大阪らんちゅうを復元させたものということから別の品種とされています。今回はこの三種を紹介しましたがほかの系列にも全国に独自の基準で新たな美しさを提案している系列もあります。
らんちゅうを飼育してみる。らんちゅうの飼い方は難しい?
らんちゅうの飼育方法は歴史が長いだけありある程度確立されているところがあります。
一般的な他の金魚の飼い方に加え、らんちゅう独自の飼育方法も
一般的に金魚を飼育する場合の飼育方法と同じで、汲み置きしてカルキ抜きした水を水槽に入れ、濾過器、濾過フィルターを入れ、エアポンプとエアストーンでエアレーションをし、大磯砂などの砂利の低床を底に敷く、というところは先ほども書きましたがほかの金魚と同じです。らんちゅうは口が下にあるため、餌は浮揚性のものより沈降性のものが好ましいです。もちろん、活餌をつかってもいいですし、冷凍アカムシやミジンコなどを使用するのもいいでしょう。ちなみに、私もらんちゅうを飼育していますが、やはり水面に浮いている餌を食べるのはものすごく下手です。
ランチュウ独自の飼育法とされるものは、いわゆる品評会に向けた個体を育成するための飼育方法です。品評会で入賞するような個体を作るために、一年をかけて親魚の選定〜繁殖~小引きという稚魚の選別を行うことになります。その為、らんちゅう愛好家はよく舟とよばれる底の浅い容器を使用します。
▲らんちゅうの黒子(色が発色されていない個体)です、ここから成長するにしたがって美しい体色がでてきます
ランチュウの飼育は難しいのかというと実際は、水流や水質に気をつけていれば素人はランチュウを飼育できないとかそういったレベルではありません。ただし、そのランチュウの体型から想像できるように泳ぎが下手で水流が苦手だったり、エサ取りが下手だったり、ほとんど上見のみという観賞用に特化して品種改良された体型のため、背びれがなかったり、体が弱くて水質の悪化にも弱かったりという難しさは確かにあります。
ただし、これらの飼育の難しさは普通に金魚を飼育できている人なら、気をつければほとんどの人がらんちゅうを飼育できるのではないかと思います。らんちゅう=高級魚=飼育が難しいというイメージもあるとは思いますが、今ではホームセンターの観賞魚コーナーでもらんちゅうは販売されていることがありますので挑戦してみてはいかがでしょうか。(アクアリウム初心者が最初に飼育する金魚としてらんちゅうを選ぶのは難しいかも・・・・)
ランチュウのような背びれのない上見を基本とする金魚を飼育・観賞するための水深の浅い水槽も販売されています。一般的な金魚の飼育方法は下記のものを参考にしてください。
金魚を金魚鉢で飼育したいかたはこちら▼
金魚を屋内で飼育する場合の一例をあげてます▼
金魚を屋外で飼育しようと思っている方はこちら▼
らんちゅうは混泳できるのか?らんちゅうの混泳は難しいの?
らんちゅうは混泳できるのか?と聞かれるとど、らんちゅうは混泳できます!とも答えられるのですが、おすすめなのはらんちゅう単独での飼育や、似たような体型や大きさの金魚との混泳です。理由は、簡単で単純に似たような食性、環境を好む金魚の方が飼育が簡単だからです。
例えば、朱文金など和金型の体の長い金魚は丈夫で、ほとんどの金魚と混泳することができますが、一緒に混泳するらんちゅうなどの泳ぎの下手な金魚にとってはあまり良い環境ともいえません。餌とり競争などになると圧倒的にらんちゅうが不利だからです。
また、水流や水質の悪化にも強く、生命力が強いのは体の長い和金タイプの体型です。もし、らんちゅうと混泳させるのであれば、ちゃんと餌がらんちゅうにまで回っているか注意が必要です。らんちゅうは強い水流なども苦手なので、環境もらんちゅうが快適にすごせる環境にしましょう。(その環境であれば、だいたいの金魚はらんちゅうよりは強いことのほうが多いので大丈夫でしょう)
当たり前ですが江戸錦や桜錦のようならんちゅうと似た体型のものとは混泳しても何も問題はおこらないでしょう。(繁殖だけは注意が必要かもしれませんが)
らんちゅうにおすすめの餌
これが絶対にいい!という訳ではありませんが、一般的によく使用されるタイプの餌を紹介してみます。まあ、無難で失敗のないタイプの餌ですね。
らんちゅうにおすすめの餌 冷凍アカムシ
金魚にはおなじみの餌だと思いますが、やはり冷凍アカムシはおすすめの餌です。 赤虫は栄養価が高く、タンパク質も豊富です。らんちゅうの成長期の餌としては特に欠かせないものといってもいいぐらいで大量にストックしている人がたくさんいます。
ただ、実は冷凍アカムシには消費期限があったり、水を汚しやすいといった弱点もありますので、金魚飼育・ランチュウ飼育の初心者は慣れるまで注意が必要です。
らんちゅうにおすすめの餌 ブラインシュリンプ
こちらも今更かも知れませんが栄養価の高い生き餌です。ブラインシュリンプは卵の状態で販売され与える時に飼育者が孵化させて与えることになるため、新鮮な状態でランチュウに生き餌を与える事ができます。ランチュウに限らず観賞魚には定番の生き餌ですね。
ただし、ブラインシュリンプは孵化させるために器具が必要、与えたブラインシュリンプは数時間で死んでしまう、意外と卵が高価だったりすると案外大変だったりましす。
らんちゅうにおすすめの餌 ミジンコ
ブラインシュリンプに引き続き生き餌のミジンコですが、こちらもランチュウ飼育者には大人気の餌といってもいいでしょう。栄養価も素晴らしく、与えた後もすぐに死なないため、水を汚す心配もほとんどありません。ランチュウ飼育の主食にする方も多いです。こちらは、当サイトの姉妹サイトの大分めだか日和で販売していますので、ぜひご利用下さい。
らんちゅうにおすすめの餌 ミジンコウキクサ
こちらは、ミジンコではなく別名 仁丹藻ウキクサです。ミジンコウキクサはデンプンの含有率が高く小粒で消化されやすいランチュウの餌としても大人気です。こちらも大分めだか日和で販売してますのでぜひご利用ください。他に植物性の餌ではクロレラなんかも人気ですね。
らんちゅうにおすすめの餌 人工餌
らんちゅうにおすすめの餌で有名なものでは、金魚屋さんなんかもよくおすすめしている咲ひかりやらんちう貴族などでしょうか。実はこの2つは私も使っています(笑)ただ、他にもランチュウ専用の餌はありますので、お好みのものを見つけてください。
らんちゅうの寿命(ランチュウの寿命)
らんちゅうの寿命は通常5年~10年程(10年も生きれば長生き?)とされ、ほかの金魚に比べると短い傾向にあります。先程も少しふれましたが、それは和金などはフナの原型を濃く残しているのに対してらんちゅうは観賞用により改良された品種だからです。一般的に原型のフナの形から離れていくほど金魚の個体も弱くなっていくとされています。
さらに、品評会に出すような個体に作るためには急成長させて大きく育てる必要がありますので、より内臓などには負担がかかり寿命は短くなるでしょう。
もちろん、その後にちゃんとした飼育方法で飼育してあげればある程度は長生きしてくれるとは思いますが、そもそもらんちゅうという金魚の性質上、観賞用に突き詰められて改良された品種ですのでどうしても和金などの品種に比べると短命になりがちで、品評会などの為に一年で無理やり大きく成長させたらんちゅうなどはより短命になると思ってもいいです。
ランチュウを寿命まで生かす育て方(10年またはそれ以上)と品評会などで賞を取るため、大きくするための育て方はぜんぜん違うので観賞用としてできるだけ長生きさせたいという場合は、餌は控えめに与えて大きさなどを追求しないような育て方を心がけましょう。
金魚の王様!らんちゅうってどんな金魚?:まとめ
いかがでしたでしょうか。金魚の王様と言われるらんちゅうは、まさに金魚の観賞魚としても歴史をぎゅっと凝縮したような品種だということがわかると思います。観賞用に突き詰められて現在の姿になった金魚がらんちゅうですから、全ては無理だとしても少しで大事にして長生きさせてあげたいですね。
